その愛くるしい外見と、目にも鮮やかな色で見た人を一瞬で笑顔にしてしまうチューリップ
世界最大の花の公園と言われるオランダのキューケンホフ公園を訪れた際、見たこともない数のチャーリップが咲き誇る光景にとっても感動した私は、「オランダ人はあんな綺麗な公園で毎年チューリップを見られるなんていいな~ 」と思っていました。
後日、オランダ人にその話をしたところ、思わぬ反応が返ってきました。
「オランダ人はキューケンホフ公園にはあまり行かないよ~。でもチューリップ畑には行くよ!」と言い見せてくれた写真は、まるで一枚の大きな絨毯のようなカラフルなチューリップ畑をのびのびとサイクリングしている様子でした!
その光景に感激した私は「次またオランダに行ったら、絶対にチューリップ畑をサイクリングするぞ!」と決めていました

生産量世界一のチューリップ大国オランダ
一年のうち春にしか見られない貴重なお花、チューリップ。春にオランダを訪れる幸運に恵まれたら、是非チューリップ観賞は外さないでほしいところ!
そこで、チューリップ鑑賞に出かける前にぜひ知っておいてほしい、オランダとチューリップの歴史について簡単にまとめてみました!そこにはオランダの栄光と挫折を支えた、美しくも逞しい、チューリップの存在があったのでした…

きっと皆さんもご存じ、チューリップは春に花を咲かせる球根植物の一種です。チューリップの品種は非常に多い上に、毎年新しい品種が発表されており、オランダ王立球根生産者協会に登録されているものだけでも6,500品種以上あるそう!
チューリップの開花時期はその年の天候によって変わりますが、概ね毎年4月初旬~5月初旬のようです。
「チューリップ」という名前ですが、ペルシア語で「ターバン」を意味するんだそう!当時トルコ人男性が着用していたターバンに似ていたことから付けられたと考えられています。
ターバン!!?確かに、頭に巻き付けたターバンをスポっとはずしてそのままひっくり返したらチューリップ、、、かもしれない。
実はオランダ、世界のチューリップの約90%を生産するチューリップ大国!
日本で販売されているチューリップもほとんどは、オランダからの輸入なんです!
オランダは優れた農業技術と長年の経験を持つので、高品質のチューリップを世界中に輸出しています。
オランダ人とチューリップの波乱万丈!?な歴史
今でこそチューリップと言えばオランダのイメージですが、原産国はトルコでした。
16世紀にオスマン帝国(現在のトルコ)からオランダに持ち込まれると、オランダの湿った低地、気候、土壌がチューリップの生育に非常に適していることがわかり、チューリップ栽培が始まります
最初は貴重な花として扱われ、富裕層の間で人気を集めていたそう。
そして1630年代に入ると、オランダではチューリップの価値が爆上がりします!最盛期には1つの球根の価値が労働者の平均年収の10倍にまで高騰します!これは「チューリップ・バブル」と言われており、歴史的にも世界初のバブル経済といわれているんです。
しかし、1637年バブルが崩壊。球根の価格は一気に下がってしまいます。
しかし、チューリップの価格は下がったとはいえ、チューリップそのものの魅力に変わりはありません。多くの農家は栽培を続け、品種改良や保存方法の改善などを経て、一般の人々もチューリップを育てたり安価に手に入るようになります。
バブル期にはとても手が出せないような高貴な存在だったチューリップは、その後一般家庭に広く浸透し、人々にとってより身近な存在になっていったのです。

古くからその愛らしい外見でオランダの人々に癒しと安らぎを与えたチューリップですが、癒しの存在とは一転、人々の命を繋ぐために不可欠な存在になっていた過酷な時代もありました。
第二次世界大戦中の1944年、ドイツに占領されたオランダの多くの地域は食糧不足のため飢餓が蔓延します。餓死を避けるため人々はやむなくチューリップの球根を食糧として消費していたそうです。 チューリップで命をも繋いでいた時期があったなんて、、、オランダ人にとってチューリップが特別な存在であることが理解できます。
また、コロナ禍には出荷量が大幅に減り、多くの農家さんは泣く泣く処分せざるを得なかったそう。しかし現在は需要も回復し、オランダのチューリップは再び世界中へ笑顔を届けているのです!
そんな幾度とない紆余曲折を乗り越え、長きにわたりオランダの繁栄と危機を支えてきたチューリップ
【オランダのシンボル】 という短い言葉の中には、目に見えないオランダとチューリップの深い絆が刻まれているように感じますね。

田園風景が美しい街、リッセをチューリップサイクリングしよう!
チューリップについて学び、より好きになったところで、さっそくサイクリングに出発です!
今回私は特にチューリップ畑が有名な地域 「リッセ」 という街にサイクリングに行ってきました。
このリッセという街はライデンから近く、あの有名なキューケンホフ公園や、チューリップエクスペリエンスというミュージアム公園もあります。
私は現在Gouda(ハウダ)に住んでいるので、まずはライデン駅へ行き、ライデン駅からバスでサイクリングコースの場所まで向かいました。
今年は4月初旬から綺麗にチューリップが咲いていたので、私が行った4月中旬の日曜日はお天気が良かったこともあり、沢山の人がリッセへサイクリングに来ていました!
マイ自転車を持って電車に乗り込んでいる人も沢山見かけました。(オランダは電車に自転車を持ちこめます。さすが自転車大国!)
ライデン駅からバスに乗り、Noordwijkerhout, Ruigenhoek(読めない
)というバス停を降りるとサイクリングコースに到着です!バス停から歩いて3分くらいのところに家族経営の自転車レンタルショップRent&Rollがあります。
今回私はこちらのお店で自転車を借りサイクリングしました。 Rent and Roll
3段階ギア付きの自転車で、1日レンタルで€18。(半日プランは€16)電動自転車もありますが、人気なので予約必須です!
ハイシーズンなので私はお店のサイトから予約をしていきました。するととてもしっかりした小学生くらいの女の子が流暢な英語で予約の確認と自転車の使い方の説明をしてくれました

リッセのサイクリングコースは主に4つあります。どれもチューリップ畑を堪能できるコースですが、今回私は人気の緑のコース(15km)をまわってみました。1時間半から2時間ほどでまわれるコースで、沢山のチューリップ畑が見られます。
こちらのサイトからPDFのサイクリングマップがダウンロードできます!
Cycling Map
サイクリングコースには色ごとにコースの表札が立っているので道に迷う心配もありません!(そういう私はチューリップに夢中で道を間違えコースアウトしましたが、そんな遠回り道さえも楽しかったです
)
それに、リッセという街自体がとてもかわいらしいので、オランダの素敵な民家を見ながら走っているだけでも楽しいです 次々と壮大なチューリップ畑が現れるので感動の連続で何度も自転車を停めて写真を撮りました!
どの農家のチューリップ畑も丁寧に綺麗に手入れされていて、チューリップ達もとてもいきいきして見えました。色、形も非常に綺麗です。これからこの子達は、世界のあちこちに出荷されて、人種も年齢も文化も異なる人達に笑顔を届けるんだろうなと思うと、何だか感慨深い気持ちになりました
これだけは知っておきたいオランダの自転車ルール
ちなみに自転車利用者が多いオランダでは守らなければいけない大切なルールがいくつかあります。下記特に重要なことを書き出しました。
自転車も右側走行
オランダは自転車も車と同じ右側走行です。もし逆走して運悪く警察に見つかると罰金が科せられるので、必ず右側を走行をしましょう。たまにレーンが白い点線で半分に分けられていつ所がありますが、そこも右側を走行しましょう。
自転車専用レーン(Fietpadフィッツパット)
オランダは多くの場所に自転車専用レーン(Fietpadフィッツパット)が設けらえています。大体は赤い色をしています。一部歩道がない場所では歩行者も自転車レーンを歩く事があります。追い抜く時は左から抜きましょう。
右折、左折時の合図
道を曲がる時は曲がる方向に手を伸ばして合図します。(これ重要!)電動自転車が普及していることもあり、オランダ人の自転車のスピードはとても速いので、安全の面でも後ろを走行している人がわかるように腕を伸ばして合図しましょう!こちらも合図していないところが見つかると罰金を科せられてしまいます。
リッセにあるチューリップが綺麗な公園
リッセはオランダ有数のチューリップ名所として知られている場所なので、サイクリングをしなくてもチューリップを堪能できる方法は沢山あります。その中でも特に有名なチューリップの公園を2つご紹介します。
キューケンホフ公園

世界最大の花の公園とも言われており、1年のうちチューリップが開花する約2か月ほどしか開園しない春限定の公園です!毎年世界中から沢山の観光客が訪れます。スキポール空港からシャトルバスが出ているのでアクセスもしやすいですね!
キューケンホフ公園は1949 年、生産者や輸出業者からなるグループがこの場所で展示会を開いたことから始まりました。1950 年には一般公開され、すぐに成功を収めます。
毎年植えつけられる球根はなんと700万球にのぼります!
開園期間は毎年違うので行く前に公式サイトでチェックしましょう。シーズン中は混むのでチケットを事前に予約することをおすすめします。

ちなみにキューケンホフ公園にも入場ゲート前にレンタル自転車があります!自転車レンタルは3時間€11(2024年現在)
疲れていなければキューケンホフ公園を見た後にそのままサイクリングするというチューリップ三昧な一日もいいですね!
バスでキューケンホフ公園まで行き入場せずにレンタル自転車だけ借りることも可能です。ただ、世界中から観光客が押し寄せるので、バスは時間指定の予約にもかかわらず行列で待たされることもあるようです。
入場料のみ €19.50
キューケンホフエクスプレスバス(直行バス)と入場料セットのチケット €31.50
(バスは3か所スキポール空港、ライデン駅、ハーレム駅⇔キューケンホフ公園)
キューケンホフ公園往復バス エクスプレスバスチケットのみ€12
自転車レンタルのみ3時間 €11
Keukenhof キューケンホフ公園
チューリップエクスペリエンス

2019年に開園。こちらも春の約2か月間だけ開園しています。規模はキューケンホフ公園ほど大きくなく、こじんまりとしていますが、一か所に色とりどりの多種多様なチューリップが咲いている光景に感動します英語でオランダとチューリップの歴史もされているので勉強もできます。キューケンホフ公園は予約がいっぱいだった時などもおすすめです。
また、お土産にチューリップを持ち替えることができます。チューリップの楽しみ方に正解はない
今回の記事ではチューリップサイクリングを特におすすめしていますが、書きながら思ったのは、結論、チューリップの楽しみ方は十人十色!
楽しみ方は本当に色々あって、サイクリングはもちろん、車のドライブや電車の車窓からもチューリップ畑を見渡せます。
キューケンホフ公園や博物館で綺麗に展示されたチューリップを歩きながらのんびり観賞するのもいいし、わざわざ観に行かなくてもお花屋さんで売られているチューリップを買って自宅に飾れば毎日見られます。
春以外に来てもオランダの有名な画家が書いたチューリップの絵だって沢山あります
どの方法でも、チューリップが間違いなくあなたを笑顔にしてくれますよ。
ご自分にあった方法で、オランダとチューリップの深い魅力に浸ってください
